風が抜けて透き通る影

時は流れ思い出の渦へ

あの子も皆、皆、みんな…

どこへ行ったの?

たった独りいつまでもここで

何故か誰かを待ってた気がする

いつかきっと、きっと、きっと…

「戻ってくる」って─


もう忘れられた過去の中で

私は約束したんだ

「ねえ、可愛いルドヴィカ、

わたしは遠く遠くへ行くけれど

貴女はここで待っててね。

いずれ貴女を迎えに帰ってくるわ」

わかったわ、いつか時間が眠るまで

いい子にして待っているわ

だから約束よ…



いつになってもあの子は来ない

私のことを置いていった…?

長く永い時を過ごして

変わってゆく瞬間も視た

あの日満ちていたものが

少しずつ廃れていくの

その中にも儚い美しさが残る

私に心なんてあったかしら

でも哀しくて寂しくて苦しいよ

雨が降ったらそれはきっと

私の涙ね…

いつまで待てばいいの

いつまでも待っているから

私はお人形だもの

ご主人さまを待つことしかできない─



風が抜けて透き通る影

時は止まり追想の渦へ

あの子も皆、皆、みんな…

遠くへ行ったの?

たった独りいつまでもここで

愛する誰かを待っているんだ

いつかきっと、きっと、きっと…

「ただいま」って─

もう叶わない望みだけれど

私は約束したから

無常に流れていくよ

永遠の一秒が


その片隅に取り残された静かな古城で

貴女はまだ待っているのでしょう

大好きだった「誰か」のことを─



【ルドヴィカ】

本当は手放したくなかったお人形…また戻ってきたら遊んであげる。でも二度と叶わなかった。
お人形はただ同じ場所でひたすら待つことしかできない。永遠に。